CHAPTER 5
5

【2002 - 2006】
平成14 - 平成18

100周年からさらなる一歩を

第1節 : 2000年計画

岩田敏郎が三代目理事長に就任

目の前に困っている人がいる。そのことに目をそむける事はできない――。
明治から大正、昭和、平成へと時代が移り変わっても、大阪養老院の名で掲げた創業精神を変わらぬ使命として受け継いできた聖徳会は、2002(平成14)年12月、 設立から100周年を迎える。創立100周年記念式典は2000年12月に天王寺都ホテルで開催し、記念行事として 「100km歩こう会」も実施した。 1世紀という節目にはもう一つ、大きな転機が待っていた。2002年12月10日 副理事長の岩田敏郎が新たに理事長に就任し、岩田克夫理事長は会長職となった。 常に世の中に求められるものを先取りして日本の高齢者福祉をリードしてきた聖徳会は、初代・民次郎から二代目・克夫へ、さらに三代目・敏郎へとバトンを継承し、100周年からその先へも「この道ひとすじ」に続けていこうとしていた。

盛大に行われた記念パーティー

式典で挨拶をする岩田敏郎

副理事長として100周年記念事業の推進役を担っていた敏郎は、 三代目理事長として陣頭指揮に立つ決意とともに、 新たにロゴマークを制定する。1942(昭和17)年に分院を構えて以来、事業の展開が続く松原市の頭文字「m」をモチーフにしたデザインで、 1世紀にわたる歩みで乗り越えようとする3つの波を表していた。 3つの波とは、創設期 (明治・大正) の苦難を乗り越えてきた 「開拓の精神の波」 、戦後に焼け野原から復興を遂げてきた 「不屈の精神の波」、そして21世紀を迎え介護保険制度の新たな時代を未来に向けて湧き上がる 「挑戦の精神の波」である。

21世紀にも発展を遂げるために2000年計画で成し遂げたこと

21世紀にも「道ひとすじ」で発展を遂げていくために、創立100周年に向けて初めて策定した中期発展計画 「2000年計画」を副理事長として主導した敏郎は、 新理事長となってからも、中期ビジョン・経営計画に基づく健全な経営と良質な介護サービスを供給する体制の確立を目指していく。
「2000年計画」では、国庫補助を得て大阪老人ホームの全面建て替え事業を2000 (平成12)年3月に完了し、 快適な居住環境で大震災にも耐えられる施設を実現した。 大阪新生苑の大規模修繕も、国庫補助を得て本館全面リニューアルを果たした。 また、 新しい大阪老人ホームに「ケアハウスまつばら」を新設し、地域の在宅福祉の拠点として、要介護状態別に利用者が在宅サービスを利用しやすいケアハウスへと進化を遂げていった。 さらに、 岩田記念診療所のデイケアを新規事業として開始し、他の在宅サービスとともにより効果的で、 効率的なサービス提供が可能になった。
2002年4月には「高齢者総合ケアセンターまつばら」 を開設する。

まつばら在宅介護支援センター

また、施設運営に不可欠で最も重要な 「ひと」(職員スタッフ)のバランスよい配置と育成にも力を注いだ。 介護保険制度の専門家として創設された 「ケアマネジャー」 (介護支援専門員)の資格取得支援の研修を実施し、多数のケアマネジャーを養成。 「まつばらケアプランセンター」は大阪府下第1号の 「居宅介護支援事業者」の指定認可を受けた。 社会福祉士や介護福祉士、看護師、 2級 ヘルパー資格などの専門職資格も、職員が次々と取得した。

さらに、養成した質の高い人材を効率的に活用、活躍できる法人組織体制を再編成。 各施設(事業所)の人事・労務など管理業務部門を、総務部・施設事業部・在宅事業部・医療事業部の4事業部制にし、新たに部・課長制も導入する。 労務管理も一元化し、常勤雇用から契約・パートまで多様な働き方が可能な形態へと移行した。2002年度には、新たな人事考課制度を導入した。従来の年功序列型賃金システムから、人材育成型職能給制度など能力主義と適正な評価、公正な待遇とムダのない能力開発につなげていく。

第2節 : 21世紀型社会福祉法人の構築

21世紀型社会福祉法人の構築へ 「2005年計画」を推進

100周年から始まる新たな挑戦の一歩として、「2000年計画」に続く第二期中期経営計画「2005年計画」がスタートする。介護保険制度に適応する「21世紀型社会福祉法人」の構築を目指すとともに、規制緩和により医療や民間企業が参入し競争時代に突入した福祉業界で、利用者一人ひとりに対する、より質の高い生活支援サービスの実現など、競争に勝てるサービス供給主体のマネジメントを確立していく。

質と量がともに変わりゆく介護事業を見据えて、利用者に選ばれ、 将来に持続的な地域の中核施設となる法人としての機能強化、安定性・積極性・信頼性を追求した活力ある施設・組織づくりを推進。 経営組織としては法人機能の充実・強化を進め、法人経営の意思決定機関である理事会と、諮問機関である評議員会の役割を明確化。法人収入を一体的に管理する計画的な経営体制に移行したうえで経営管理機能を強化し、財産損失から収入減少、賠償責任、人的損失まで経営管理全般のリスクマネジメント体制も確立する。
質の面では品質保証管理システム「ISO9000」の概念を導入し、2003(平成15)年度に大阪府社会福祉協議会の福祉サービス第三者評価により「Aaa」 の総合評価を受けた。

財務管理では的確な経営情報の把握や積極的な情報開示を進め、人事管理では採用から育成、評価、処遇を一体的に考える適切な管理を、事業管理は社会福祉サービス事業の理念の確立と経営方針の設定、達成状況の検証、事業の多角化を推進。サービス管理では介護保険施行後の変化に対応し、利用者が選択しやすいサービス内容の確立を目指した。
弱者救済の手段から自立支援への権利としてのケアサービスに舵を切った介護保険制度は、尊厳ある人生を支援するために、複合型の多様な事業・サービスの開発が求められていた。

介護サービスのIT化・情報化も推進し、ネットワーク型 「高齢者介護施設総合支援システム」を導入。サービスの標準化と情報管理の一元化、目に見えやすい施設ケアと円滑なコミュニケーション、データの蓄積による納得・説得力の高いサービスによって、さらなる質の向上へとつなげていく。
利用者のQOLが高いサービス管理システムを構築することで、高齢者一人ひとりの生活支援を向上し、活力あふれる施設づくり、安心と安らぎのある生活環境づくりを進めるとともに、介護のプロフェッショナル集団が育ち、専門性を向上する人材育成研修も実施した。
そのさなかの2005年1月、 二代目理事長の妻・岩田徳子が84歳で他界する。 聖徳会の新たな100年の始まりを、見守りながらの旅立ちであった。

2005年計画に掲載された品質マネジメントシステムの継続的改善図解

公私にわたり克夫を支えた徳子の法人葬

第3節 : 子育て支援事業

新規事業として子育て支援(保育)事業を開始

要介護高齢者の段階的な階層や変化にも対応するなど、 複合型サービスの提供に優位性を持つ聖徳会は、多様な事業・サービスを開発してきた。 今後の新規事業として、高齢化社会とともに問題視されていた、保育園の待機児童問題の解消に高い関心を抱いていた。 特に、利便性の良い駅前多機能保育所のニーズが高いことを踏まえ、 高齢者・児童の複合型施設としての新型ケアハウスの一体運営の検討を進めていたが、松原市から保育所設置の打診もあり、地域のニーズに応えるために保育事業への進出を決めた。

そして2004(平成16)年4月、新たに「まつばら駅前おおぞら保育園」 (松原市上田4-3-32) を開設する。「子どもたち一人ひとりの存在と人権を尊重した保育」を方針に、就労により自宅保育ができない生後3ヶ月から5歳児までを預かり、定員90名でスタートした。通常保育に加え、一時預かりや休日保育などの事業にも取り組み、地域子育て支援センターも併設して親子教室や園庭開放、育児相談なども実施。地域全体の子育てを支援する保育園となっていく。また、「まつばら駅前おおぞら保育園」の3階に「まつばら駅前デイサービスセンターおおぞら」(定員30名) を、聖徳会初の保育園と合築のデイサービスセンターとして開所する。 高齢者と子どもたちの「老幼」の交流から笑顔が生まれる光景は、初代・民次郎が東北飢饉から救出した「幼老院」の姿に重なるものであり、聖徳会の歴史に新たな1ページを刻んだ。

まつばら駅前おおぞら保育園

まつばら駅前デイサービスセンターおおぞら

社会貢献事業では、松原市と連携して2001年に「いきいき講座」 がスタートする。 医師や看護師、栄養士を講師に、高齢者の健康に関する講義や体操などを実施し、2004年からは在宅介護支援センター主催・岩田記念診療所協賛で認知症の医学知識や栄養管理などの講座を開催。2006年からは松原市の介護予防普及啓発事業として実施し、地域の高い関心に応えた。

また、2005年には認知症介護研究・研修仙台センターのモデル事業として「ケアケア交流講座」を開始し、翌2006年度まで実施した。
高齢者事業では2005年、大阪老人ホームと大阪新生苑を統合し、新名称は「大阪老人ホーム (西館・東館)」 (定員208名) に決定する。
この統合には、相互の施設活用によるアクティビティの推進、重介護者への対応拡大、2ヶ所の厨房を活用した複数メニューの導入など、一体となって利用者の生活が活性化するような介護サービス機能を充実させる狙いがあった。
また、地域に密着した高齢者介護の展開と、地域の中核施設としての機能強化を図る狙いもあった。岩田敏郎理事長の姉である杉村和子施設長のもとで順次、統合を進め、大阪新生苑内診療所は2006年に廃止され、大阪老人ホーム診療所として生まれ変わった。

介護・医療・保育制度は市民の暮らしを支える基盤である。必要な人に、必要な時に、必要なサービスを提供できること、その質を高めることで、一人ひとり異なる課題の解決に結びつける仕組みづくりを、聖徳会は進めていく。それはまた、地域における尊厳を保持する自立支援を図るセーフティネットの構築、医療・健康・福祉の連携充実による社会貢献・サポートなどによって、暮らしやすい街づくりにも参画しながら、公共性、公益性の高い「新しい公」としての事業を創り出す挑戦であった。

1
【1901 - 1924】明治34 - 大正13 悲願達成と発展への
基礎づくり
2
【1925 - 1944】大正14 - 昭和19 苦節の動乱期
3
【1945 - 1978】昭和20 - 昭和53 飛躍への土台づくり
4
【1979 - 2001】昭和54 - 平成13 高齢者福祉の
新時代到来
5
【2002 - 2006】平成14 - 平成18 100周年からさらなる
一歩を
6
【2007 - 2011】平成19 - 平成23 新たな伝統を創り出す
挑戦
7
【2012 - 2016】平成24 - 平成28 「21世紀型の社会福祉法人」として
8
【2017 - 2021】平成29 - 令和3 多様化・複雑化する福祉サービスにシナジーを発揮
未来
【2022 - ∞】令和4 - ∞ 120周年を節目に、
次なるステージへ
1

【1901 - 1924】
明治34 - 大正13

悲願達成と発展への基礎づくり

2

【1925 - 1944】
大正14 - 昭和19

苦節の動乱期

3

【1945 - 1978】
昭和20 - 昭和53

飛躍への土台づくり

4

【1979 - 2001】
昭和54 - 平成13

高齢者福祉の新時代到来

5

【2002 - 2006】
平成14 - 平成18

100周年からさらなる一歩を

6

【2007 - 2011】
平成19 - 平成23

新たな伝統を創り出す挑戦

7

【2012 - 2016】
平成24 - 平成28

「21世紀型の社会福祉法人」として

8

【2017 - 2021】
平成29 - 令和3

多様化・複雑化する福祉サービスに
シナジーを発揮

未来

【2022 - ∞】
令和4 - ∞

120周年を節目に、次なるステージへ

LEARNING FROM HISTORY, PONDERING TODAY, ENVISIONING TOMORROW.