第1節 : 第三期中期経営計画「2010年計画」
実効性を高める持続的な「内」なる変革
聖徳会では子どもから高齢者まで、必要とされるすべての要援護者に対して必要なサービスを提供し、無料低額診療と連携した社会貢献事業の伝統を継承してきた。 介護保険制度への準備期となった 「2000年計画」、対応期の「2005年計画」を経て、安定と信頼を充実する経営期を迎えていた。
そして、「21世紀型社会福祉法人」の構築へ内なる変革を進め、第三期中期経営計画「2010年計画」がスタートする。「利用者から、職員から、そして地域から選ばれる法人であり続けるために、経営の安定性・信頼性を追求し、付加価値を高めることで社会に還元すること」をビジョンに掲げ、実現すべき4つの経営方針を定めた。

第三期中期経営計画「2010年計画」

2010年計画で掲げられた4つの経営方針
一つ目は「法人経営基盤の安定化」である。理事の積極的な経営参画により経営管理機能を強化するとともに、本部機能の効率化を推進。また、事業所の独立採算性を維持しながら、聖徳会全体の相乗効果の発揮へとつなげる取り組みを進めていく。
二つ目は「サービスの質の追求」で、地域の多様なニーズに対して絞り込んだサービスを展開。また、医療と介護の連携を強化し、地域支援・社会貢献事業にも継続して取り組んでいく。
三つ目は「相乗効果の発揮」で、利用者の視点に立つ組織構造のあり方を追求する。 部門の枠組みを超えて、コミュニケーションの活性化と生産性の向上を推進。さらに各現場で成果を挙げた業務改善の事例を法人全体で共有し、成果を高めていく。
四つ目は「魅力ある職場づくり」 である。「2005年計画」 から進めてきたプロフェッショナル集団としての専門性の確保・育成に努めるともに、職員一人ひとりが主体的に業務改善に取り組む風土を確立していく。それと同時に、聖徳会を支える中間管理職の育成と適正な人事考課制度の再構築にも取り組んだ。
人事考課表の一部(法人共通)
また、法人としての組織機能を活用・強化していくことにも力を注いだ。2006(平成18)年、法人役員会内に事業担当役員と財務担当役員を設置し、的確で実効性のある事業運営とサービス向上、無駄な経費削減を推進する。 2007年には、将来を見据えて法人の組織力を強化する「法人組織強化委員会」を設置し、岩田敏郎理事長と岩田克夫会長のほか、理事などのメンバーで構成した。 2008年には、 法人組織機構を柔軟な組織にし、円滑な事業の推進や人材の確保・育成を図るため、 従来の事業部制を変更。「事務局、高齢者総合ケアセンターまつばら、岩田記念診療所、まつばら駅前おおぞら保育園」の新たな組織体制となった。
第2節 : 外部機関との連携
「外」の有効活用と連携
内なる変革の推進と併行して、外部の専門機関や地域とのネットワークを有効に活用し、経営力に磨きをかけていく。
2000年代に入ってから、 経営の姿を映す鏡として第三者サービス評価を導入し、継続的な経営改善策につなげていた。また、研究機関との連携を強化し、2008 (平成20)年度からは新たに日本福祉大学と事業交流を始めた。学生および職員の福祉教育・学習活動を支援するほか、職員の資質向上と次代を担う人材育成のための研修など、聖徳会の基盤強化に協力を得ることも可能になった。さらに、2010年度からは同大学の協力を得て、聖徳会に残る高齢者介護・福祉などの資料の整理に着手し、歴史的に価値ある資料の展示・保管方法の指導を受けた。
地域との連携では、大阪老人ホーム独自の介護予防事業の取り組みとして、 2006年度から2008年度まで「はっするアカデミー」を開催する。また、2008年度から2009年度までは松原市の通所型介護予防事業「らくらく健康塾」を実施、2009年度には、まつばらケアプランセンターで24時間相談可能な体制を整備するなど、地域社会に貢献する取り組みを実施していく。2006年には、万一の災害に備え、隣接する地域と協定書を作成するなどの協力体制も整備。松原市介護予防普及啓発事業として、聖徳会の理学療法士による「転倒予防教室」も実施した。
第3節 : 地域密着推進
新施設、 新サービスでさらなる地域密着を
地域に密着したサービス供給体制の確立に向けて、聖徳会は2006(平成18)年3月、民間所有者の土地を借り上げて介護付有料老人ホーム「田坐の家」(松原市田井城1-177-1、定員27名)を開設する。ネーミングは松原市内にある田坐神社に由来し、長年住み慣れた地域で自立した生活を送りたい、という高齢者のニーズに応えるものとなっていく。
和風家屋をイメージする居室は全室個室で、18㎡の広さがある。家具や調度品の持ち込みも可能な、自由度の高いプライベート空間を創出したほか、特殊浴槽も完備し要介護度5の利用者にも対応できる。緊急時への対応としては、ナースコールを設置し安心して暮らせるような環境となっている。食事面では医師と看護師、栄養士が連携して利用者に適した食事を提供するなど、必要な人にだけ、必要なだけの介助や支援を提供する。
また、同建物1階には「デイサービスセンター田坐」(定員15名)も併設する。自宅での自立した生活を支援する、手軽にできる体操や歩行訓練など身体機能の維持向上に重点を置くプログラムを提供していく。同施設の開設に伴い、2006年2月には「まつばらデイサービスセンター風見鶏」を廃止して田坐に移行し、後に2019年、地域密着型デイサービス(定員18名)に変更した。2009年には新たな取り組みとして、認知症対策総合支援事業の一環である認知症対策普及・相談・支援事業を大阪府より受託する。認知症の相談などを受ける「認知症コールセンター」を設置し、2010年度まで実施した。

田坐の家
2010年4月には、新たに特別養護老人ホーム「大阪老人ホームうえだ」(松原市上田 8-11-11、定員100名〈入所88名、ショートステイ12名〉)を開設する。「大阪老人ホーム東館」 の耐震構造などの老朽化に伴い、大阪府営団地の跡地である松原上田地区の約 3,650m²に、移転建て替えを検討。全室個室のユニット型特養として、各ユニットの特徴を活かしながら1日の生活を24時間シートに記入して情報を共有し、一人ひとりに合わせたケアを提供していく。個室は立ち上がりが楽なベッドと寛ぎの畳、和洋を兼ね備えた快適性を確保し、浴室には機械浴・リフト浴・介助浴・個浴の4タイプを完備。併設の喫茶室「クローバー」 は憩いの場となり、地域交流室では映画鑑賞など多彩なレクリエーションやイベントを実施した。
同月には併設の「デイサービスセンターうえだ」(定員25名)も開所する。少人数制のプログラムを採用し、カラオケや脳トレ、手工芸、書道など多彩なレクリエーションから利用者が自らプログラムを選択。また、理学療法士による体力テストや歩行訓練などの機能訓練、看護師によるバイタル測定、 栄養士による食事、専門知識を持つスタッフによる介護ケアや健康管理など、生活向上のサービスを提供した。「大阪老人ホームうえだ」「デイサービスセンターうえだ」の新規事業開始に伴い、「大阪老人ホーム」の定員を204名(ショートステイ24名)から120名 (同)へ変更。また、岩田記念診療所デイケアセンターを廃止し、「デイサービスセンターうえだ」に事業移行した。
園児と高齢者の交流
保育事業では、核家族化が進むなかで若い親世代の不安解消をサポートするサービスを提供。地域子育て支援センターを中心に、地域での子育てを支援できる多機能化の基盤整備を進めていく。少子化対策に取り組む「まつばら駅前おおぞら保育園」では、休日保育や保育時間の延長など保護者の多様な働き方に対応する保育を実施。2008年4月からは松原市の要望に応えて定員120名に増員した。また、食料や食生活を大事にする心と姿勢を身に付ける「食育」の取り組みも推進。食の自己管理や選択する判断力を楽しく学ぶ機会づくりも実施した。さらに、子どもの人権尊重に関連して新たに障がい児保育にも取り組み、デイサービス利用の高齢者と触れ合うことで人の温もりを伝えることにも努めた。

まつばら整骨院

筋力や体力を保つための機能訓練
2011年4月に新設した 「まつばら整骨院」には、「大阪老人ホーム」内で機能訓練指導員として業務に従事していた柔道整復師有資格者を1名配置した。骨折や脱臼、打撲、捻挫、挫傷などの外傷を、柔道整復師の施術により治癒力を引き出しながら症状を改善。健康保険、生活保護法の医療扶助、労災保険の適用対象となり、希望すればリラクゼーション目的とする自由診療 (保険対象外施術) も実施。ウォーターベッドやメドマー、超音波治療器など、充実した設備と他の社会福祉法人にはない機能回復訓練体制を整え、在宅サービスや地域の方々へサービスを提供していく。また、岩田記念診療所の医師から、必要に応じて骨折や脱臼に関する指示を受ける一方で、まつばら整骨院からも岩田記念診療所へ診断を依頼するなど、 双方向の連携を推進。利用者へのサービス提供に留まらず、新規患者の確保、聖徳会職員の腰痛予防や心身のリフレッシュなどの福利厚生、さらには地域へのサービス提供と充実も目指していった。
「大阪老人ホーム」「大阪老人ホームうえだ」の特別養護老人ホームにおいても、機能訓練指導員として介護保険制度における利用者への機能回復訓練を行う理学療法士を配置し、利用者の心身機能評価なども介護職員と共同で実施していった。あらゆる面から利用者や地域の方々、ひいては聖徳会職員のケアまで包括的に行える体制が整うこととなる。
LEARNING FROM HISTORY, PONDERING TODAY, ENVISIONING TOMORROW.














