CHAPTER 7
7

【2012 - 2016】
平成24 - 平成28

「21世紀型の社会福祉法人」として

第1節 : 創立110周年

創立110周年の節目を迎えて

2012(平成24)年12月1日、聖徳会は創立から110周年の節目を迎える。創立110周年記念式典は松原市文化会館を会場に開催し、地域の住民も参加して、 加藤伸司東北福祉大学教授 (認知症介護研究・研修仙台センター長)が「認知症を理解し、地域で支える」をテーマに基調講演を行った。 式典の前後には、聖徳会を支える地域の方々への感謝の想いを込めて、保育園児による劇遊びや合唱、親子で楽しむ「わくわくコンサート」 などの記念イベントも実施した。
先だって11月2日には、周年記念行事として支援を受けてきた200名超の関係者を招く「感謝の会」を天王寺都ホテルで開催する。また、11月10日・11日には 「110kmウォーキング&フォトコンテスト」を実施。大阪・道明寺から奈良・平城宮跡などを経て京都・宇治で宿泊し、枚方市を通って大阪老人ホームにゴールする110kmを2日かけて歩くウォークイベントは、岩田敏郎理事長はじめ職員ら約30名が完歩した。その様子を写真で記録するフォトコンテストでは、理事長賞や会長賞、センター長賞が授与された。

福祉行政への功績による松原市長からの表彰

雨の中、110km ウォーキングのゴール

翌2013年3月には、 創立から110年の歴史を紐解く全128ページの『110年記念誌 道ひとすじ-大阪老人ホーム110年のあゆみ』を発刊する。記録用としてDVDも作成し、聖徳会の紹介やPRにも使用した。また、110年の歴史を物語る高齢者介護・福祉関連の貴重な歴史を、資料として有効に活用することにも着手。
「見せて、遺す」機能を持つ「法人資料室」を新設し、資料の整理・保存を計画的に進めていくことになった。

第2節 : 2015年中期ビジョン

2015年中期ビジョンを推進

聖徳会では未来のあるべき姿と、その実現に向けて進むべき方向性を5年ごとに中期経営計画で描き出してきたが、新たに第四期中期経営計画「2015年計画」を策定する。「さらなる発展に向けて」とのサブタイトルがつけられた「2015年計画」は、聖徳会が高齢者総合ケアセンターとして、これまで以上に幾多の難関を乗り越え、地域をはじめとする多くの支援を得ながら存続していくという誓いが込められていた。それはまた、市町村が介護保険計画の基本方針において、地域の高齢者が自立した生活を営むことができるように、医療や介護、予防、住まい、生活サービスをシームレスに切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の実現を掲げるなかで、聖徳会は自ら先んじてその取り組みを進めていく。

また、全国社会福祉施設経営者協議会(現・全国社会福祉法人経営者協議会〈全国経営協〉)が新たに、全国の社会福祉法人が「社会、地域における福祉の充実・発展に寄与すること」を使命とする倫理綱領を定め、「社会福祉法人行動指針」を新設した。これに伴い、同指針に基づく経営実践テーマとして「4つの基本姿勢、16の具体項目」 を取り入れた。さらに、全国経営協が「アクションプラン 2015」として掲げた「10の経営原則」 (非営利性、継続性、効率性、透明性、倫理性、先駆性、開拓性、組織性、主体性、安定性)の実践にも取り組んでいった。

高齢者に特化した事業だけでなく、時代の要請を受けて開始した子育て支援事業へと展開を広げる聖徳会は、これまでにも増して聖徳会の法人理念 「人権尊重の精神」を基盤に、公共的・公益的かつ信頼性の高い社会福祉法人として、住民からの信頼に応えられるような機能の整備を推進。子育て世代や介護サービスを利用する世代、次の時代にサービスを利用しようとする新世代にも支持される存在を目指していく。

さらなる発展と成長へと歩みを進める「2015年計画」のさなかには、悲しい別れもあった。半世紀を越えて二代目院長を務めた岩田克夫会長が2014年5月4日、93歳で還らぬ人となる。5月25日には、大阪市立やすらぎ天空館で法人葬が執り行われた。

岩田克夫会長の法人葬

第3節 : 松原市内の事業拠点

松原市内の事業拠点を南北二地区に分化

介護保険制度の施行から10年余が経過し介護サービス事業を取り巻く経営環境が厳しさを増すなか、「2015年計画」の事業ビジョンには、松原市内の高齢者サービスの拠点を、「北」(阿保)と「南」(上田)の2地区の事業エリアに分けることが示されていた。

「北地区」は「大阪老人ホーム」を中心として、聖徳会の中核拠点施設としての総合的機能の整備を推進する。入浴設備などのリニューアルをはじめ、小規模ケアも実践できる環境整備、中核施設として厨房機能の拡充を図り、食事の質を担保しながら食事提供方法の効率化も進めていった。また、日々の介護サービスの質の向上に加えて、終末期の介護・看護、軽度から重度までの認知症高齢者の受け入れ、在宅復帰機能、措置・緊急入所のスムーズな受け入れなど、施設機能を高めることにも力を注いでいく。要介護状態が中・軽度の利用者のニーズに応える「田坐の家」の運営は、「大阪老人ホーム」 との連携を強化した。

「南地区」は新たな地区構成の事業展開として、個別ケアの充実する全室個室・ユニット型の新型特別養護老人ホーム「大阪老人ホームうえだ」を中心に、エリア内の機能充実を進めていく。 併設する通所介護事業所「デイサービスセンターうえだ」でも適正配置とサービス内容の充実と強化を図り、地域貢献事業の取り組みである配食サービス、地域との共同消防訓練、認知症介護の支援講座の開設なども推進。また、南地区の拠点機能の充実を図るため、新たな居宅介護支援事業所「ケアプランセンターうえだ 」(松原市上田8-11-11)を2013(平成25)年5月に開設する。

第4節 : 地域包括ケアと子育て支援事業

拡充が進む高齢者サービスと子育て支援

急速に進む高齢化時代を支える高齢者サービスの担い手として、聖徳会は施設・在宅サービスの質的充実を図りながら、地域包括ケアを推進する環境整備が必要不可欠と位置付け、積極的に進めていく。
2015(平成27)年5月には、 包括ケア体制のもとで地域の高齢者に多様な住まい方を提供するために、軽度の要介護者の入所ニーズに対応するサービス付き高齢者向け住宅「コアハウスまつばら」を開設する。5階建ての新施設には地域コミュニティの拠点となる「健康スタジオまつばら」を開設。在宅介護支援センターのアウトリーチ機能と位置付け、介護予防活動を通じて地域住民の総合相談に応じられる体制を整えていく。
5月には1階に無料低額診療所「クリニックいわた」(内科、精神科)を併設。翌2016年に岩田記念診療所を廃止し、訪問リハビリテーション機能とともに「クリニックいわた」に移転して医療事業の一本化を果たした。地域社会に還元できる無料低額診療所としての適切な機能・環境を充実させ、活動を拡大した。

コアハウスまつばら

クリニックいわた

子育て支援事業では、2015年4月に実施され「子ども・子育て支援新制度」による変革の波に乗り遅れないための体制整備を推進。「まつばら駅前おおぞら保育園」では、多機能の保育事業を展開するとともに保育内容も精査し、質の向上を図る「選ばれる保育所」のあり方を追求していく。2016年度からは松原市からの委託で「居宅訪問型病後児保育事業」の取り組みを開始する。また、培った保育事業のノウハウを活かす2園目以降の開設準備を進め、 2014年4月に「天王寺駅前おおぞら保育園」、2015年4月には「うえだおおぞら保育園」を、相次いで開設する。
「天王寺駅前おおぞら保育園」は、JR天王寺駅北側徒歩7分の立地で、通常保育(7~18時)・延長保育(18~20時)・ 障がい児保育とともに初年度から休日保育を自主事業で取り組んでいる。2015年度から大阪市の委託事業となり、翌2016年度から定員を70名に増員した。
大阪市天王寺区・阿倍野区近辺は大阪養老院が誕生した聖徳会発祥の地であり、この地域での福祉事業の展開は念願でもあった。
「うえだおおぞら保育園」では延長保育や障がい児保育、園庭開放など地域のニーズに合わせた運営を実施。保育内容では独自性を発揮し、体育指導・英語あそびなどの教育にも力を入れていく。職員体制は、保育士・看護師など経験のある職員と新規採用職員のバランスを考慮。両園ともに、小規模であることや地域の特性を活かして、選ばれる施設づくりと職員の育成を進めていった。

第5節 : 人材マネジメント・採用強化

トータルな人材マネジメントの実現を目指して

訪問介護・訪問看護・訪問リハビリなどの訪問系サービスも、地域包括ケアを推進する重要な役割を果たすことを踏まえ、聖徳会は専門職の資質向上を図るとともに、法人内で事業所間の連携を深め、専門職の有効活用を積極的に実施。個々の能力向上を支援しながら各専門職種の連携も可能な体制を整備し、計画的な人材の採用・育成も推進していく。
2012(平成24)年から、聖徳会が期待する職員像に基づき、職務能力の開発および職業人としての成長を目的とした人材育成の取り組みを開始する。 職員一人ひとりの環境を考慮し、資質向上につなげる支援体制を重視。キャリアパスを明確にしながら、聖徳会が求める人材像を人事考課基準項目で示し、職業人としての成長を期待する育成に取り組んだ。また、新たな課題として経営的視点を持つ幹部職員の登用と育成を図っていった。

サービスの質の向上を可能にする人材の確保・育成の研修事業として「介護職員基礎研修コース」を立ち上げ、国家資格である介護福祉士を目指す介護職員の育成を進めた。さらに、高齢・保育など部門別に、それぞれが職務能力の向上および職業人としての成長を目的とした研修を展開。未経験で採用した介護職員には 「介護職員初任者研修」の受講、聖徳会内での研修受講などを通じて国家資格である介護福祉士を目指す介護職員を支援した。

また、認定こども園には幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方の免許・資格を有する「保育教諭」が必要になるため、経過措置期間中に保育士が免許・資格を新たに取得する取り組みを支援した。さらに、聖徳会職員として業務に不可欠な資格取得に向けた支援も開始。理想的な事業経営を実現する総合的な人材マネジメントシステムと、体系的な研修プログラムの構築にも力を注いだ。多様な働き方が認められ、魅力と働きがいのある職場・組織・風土づくりのために、組織の活性化や良質な人材の確保・育成、処遇の向上なども推進していく。外部との連携も推進し、日本福祉大学との事業交流を継続実施するともに、2012年度から開始した全国社会福祉協議会への出向制度も活用。新卒で採用した介護福祉士・社会福祉士 ・保育士など専門職の定着率を高めるため、養成校との連携を重視し、実習生の確保を採用につなげる仕組みも検討していった。

第6節 : 災害時の対応強化

災害への備えと取り組みを拡充

2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災で、聖徳会は職員を現地派遣するなど支援活動を実施し、義援金は大阪府社会福祉協議会老人施設部会を通じて、東北ブロック老人施設協議会へ贈った。さらにその後、大規模災害による被災を教訓として、予測や軽減策などの防災対策を構築。建物損壊や地盤沈下などの一次被害、それによる火災発生や設備破損などの二次被害を想定した訓練を実施していく。
また、各事業所のサービス利用者の生活が施設やサービスの中だけで完結することなく、家族や知人・友人、地域住民との関係が継続、促進する支援策を検討する。予測される巨大地震などの想定や対応策などの防災意識を高めるとともに、地域の中核施設として、地域からの避難所機能も果たすため、① 施設利用者、②在宅の要介護・要支援者、 ③在宅の虚弱・自立高齢者などに分類して、それぞれの対応策を整理していった。特に、松原市内の中心部に位置する「大阪老人ホーム」は、北地区の中核拠点施設として災害時に強い施設構造、迅速な対応が可能な体制を構築することで、行政機関や近隣町会とも連携し、防災訓練を計画的に実施するなどの災害時体制を整備していった。

近隣地域の施設が利用者を相互に受け入れる協定の締結、災害時の対応や非常用食料の準備・点検などの備えを怠らない。それだけでなく、広域圏での支援体制として2015年に日本福祉大学が提携する社会福祉法人の15法人と「災害時の連携・支援に関する覚書」を締結し、定期的な研修も実施している。

2012年9月2日、大阪老人ホームうえだで地域住民との防災訓練を実施

1
【1901 - 1924】明治34 - 大正13 悲願達成と発展への
基礎づくり
2
【1925 - 1944】大正14 - 昭和19 苦節の動乱期
3
【1945 - 1978】昭和20 - 昭和53 飛躍への土台づくり
4
【1979 - 2001】昭和54 - 平成13 高齢者福祉の
新時代到来
5
【2002 - 2006】平成14 - 平成18 100周年からさらなる
一歩を
6
【2007 - 2011】平成19 - 平成23 新たな伝統を創り出す
挑戦
7
【2012 - 2016】平成24 - 平成28 「21世紀型の社会福祉法人」として
8
【2017 - 2021】平成29 - 令和3 多様化・複雑化する福祉サービスにシナジーを発揮
未来
【2022 - ∞】令和4 - ∞ 120周年を節目に、
次なるステージへ
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【1901 - 1924】
明治34 - 大正13

悲願達成と発展への基礎づくり

2

【1925 - 1944】
大正14 - 昭和19

苦節の動乱期

3

【1945 - 1978】
昭和20 - 昭和53

飛躍への土台づくり

4

【1979 - 2001】
昭和54 - 平成13

高齢者福祉の新時代到来

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【2002 - 2006】
平成14 - 平成18

100周年からさらなる一歩を

6

【2007 - 2011】
平成19 - 平成23

新たな伝統を創り出す挑戦

7

【2012 - 2016】
平成24 - 平成28

「21世紀型の社会福祉法人」として

8

【2017 - 2021】
平成29 - 令和3

多様化・複雑化する福祉サービスに
シナジーを発揮

未来

【2022 - ∞】
令和4 - ∞

120周年を節目に、次なるステージへ

LEARNING FROM HISTORY, PONDERING TODAY, ENVISIONING TOMORROW.